デーブ・ランドリーというアメリカの投資家がいます。
僕がそのデーブ・ランドリーという人物を知ったのは、「裁量トレーダーの心得」という2冊の本を読んだことがきっかけでした。
裁量トレーダーの心得という本は2冊あるのですが、一冊は「初心者編」で、もう一冊は「スイングトレード編」です。
その初心者編に書かれていたことですが、誰もが承知しているつもりなんだけど、多くの人が出来ていないことを、デーブ・ランドリーは書籍の中でズバリと指摘していました。
あなたは自分の損失から学ばなければならない。すべきでなかったことをして、大きな損失を被ったら、そこから学ばなければならない! (デーブ・ランドリー)
これって、あたりまえだと言えることですよね? でも、多くの人が出来ていない事です。たいていの相場参加者たちは、負けた時には自分のせいだと思いたがらない傾向にあります。「相場のせい」とか「突発的なニュースのせい」とか「あの本」のせいとか「あの教材」のせいとかにします。
そんなふうに、自分が悪かったのではなく、自分以外の何かが悪かったと決め込んでしまうのです。
偉大なトレーダー、成功したトレーダーで、一度も大きな損失を経験したことがない人は古今東西どこを探しても見つけることは不可能でしょう。
成功したトレーダーとは、最初から偉大なトレーダーだったというわけではないのです。あたりまえですね。僕やあなたと同じように初心者としてトレードデビューをして、そして少しずつステップアップをして偉大な領域まで辿り着いたのです。
もちろん、人により思うような結果が得られるまでの期間は違って当然ですが、少なくとも年単位での修業を積むのは普通にあることで、もしそうであっても不思議でも何でもありません。
ちなみに僕自身のことを思い返せば、満足な結果を出せるようになるまでには9年間が必要でした。
偉大なトレーダー、成功したトレーダーは、小さいトレードからコツコツと始めて何年間もずっとコツコツコツコツと、ひたすら正しく繰り返してきたからこそ偉大な領域まで辿り着いたのです。決して運が良い状態や偶然が積み重なったものではありません。
運が良い状態なんて長くは続けられないし、偶然が良い方向だけに積み重なる状態も長くは続かないものです。成長途上で何らかの失敗を経験してきたからこその結果なんですね。大きな損失という失敗トレードは、最大の失敗例だとも言えるのかもしれませんが、その時にこそ目の前には分岐点が現れるのです。
その分岐点のひとつは尻尾を丸めて逃げること、すなわち、あきらめてトレードをやめてしまうのです。そして、もうひとつの分岐点は、あきらめずにやり続けることです。これもあたりまえのことですが、あきらめてしまえば、もうその時点で終了になるのです。
でも、あきらめずにやり続けるなら、終わりじゃないので最終結果がどうなるのかは、その時点では分かりませんが、少なくとも希望の光が消えてなくなってしまうことはありません。
なぜ、大きな損失になってしまったのか? その理由はここで紹介した格言にあるように「すべきでなかったことをしたから」かもしれません。ポジションサイズが大きすぎたのか? ルールを逸脱した行為を重ねてしまったのか? 失敗には何らかの理由が必ず存在しています。
もちろん、僕自身は過去に何度も間違ったことをしてしまい、その都度、高い授業料にはなりましたけど、それらの経験が何度も大きな教訓を与えてくれて、同じような過ちを犯す回数を確実に減らすことにつながってきました。
ですから、大きな失敗をすることは、そのすべてがマイナスの経験ばかりではないということです。大きな失敗をしたあとこそが重要なのです。
その後に大きな恐怖心を感じるようになり、何も出来なくなってしまうのか? それとも再び奮起して立ち上がるのか?
当然にして成功したトレーダーは、恐怖心を自ら克服して再び奮起したからこそ、その後に偉大な領域まで辿り着いたのです。そして、トレードを繰り返していると小さな失敗なんていくつもあるものです。
空振りをしないプロ野球選手はいない。エラーをしないプロ野球選手もいない。シュートを外さないプロサッカー選手もいない。サーブを外さないプロテニス選手もいない。パットを外さないプロゴルファーもいない。転ばないプロスケーターもいない。
どんな分野であれ、プロだって小さな失敗はひたすら繰り返しています。弘法にも筆の誤りがあるように、あらゆる失敗から逃れることはできないのです。であるなら、むしろ失敗した経験を避けられないなら、失敗という事実に対する心構えを変えていくしかないと思いませんか?
僕ら相場参加者がやるべきことは、失敗からひとつでも多く教訓を得ることです。完璧なエントリー、完璧な決済。すなわち、完璧なトレード手法をいまだに世の中に求めている人がいます。そのような類のものを欲しがる人は、次に挙げるような人を追い求めていることと、まったくもって同じことです。
一度も空振りをしないプロ野球選手。一度もエラーをしないプロ野球選手。一度もシュートを外さないプロサッカー選手。一度もサーブを外さないプロテニス選手。一度もパットを外さないプロゴルファー。一度も転ばないプロスケーター。
まさにあり得ないこと。そんな非現実的なことばかり追い求め続けても意味がありません。しくじった回数以上に上手くいった回数を増やせるように頑張れば良いのです。すなわち、成功に公式があるのなら、その公式とは・・・
成功 = 上手くいった回数 > しくじった回数という公式が成り立つことになるでしょう。
躓くことを恐れて行動できないよりも、まずは行動することをお勧めします。そして、上手くいかないことがあるたびに、そこから学びを得るようにしてください。
それをひたすら継続していけば、成功 = 上手くいった回数 > しくじった回数という状態に、必ずなれるはずです。小さな失敗は当たり前。だから小さな失敗から必ず何かを得よう。そして、ひたすらそれを繰り返すことで、あなたは未来の大きな成果を必ず手にすることができるようになれるでしょう。
失敗を失敗と思い続けるのか? それとも、成長のために通るべき道だったと思うのか? その判断はあなた自身の中で決めることです。だからぜひ、今後は失敗というものに対しては、打たれ強さを身に備えるようにして、あなたの中で失敗の捉え方を変えることに、これからは取り組んでみてください。