「BLASH(ブラッシュ)」という言葉を今までに聞いたことがあるでしょうか? BLASHとは、「Buy Low And Sell High」の頭文字を組み合わせた略語です。
つまり、その言葉を日本語に訳せば、「高きを売り、安きを買え」という意味です。一見すれば、利益を上げるためには、もっともなことを表現している言葉だと思いませんか?
でも、実際にこのBLASHは、FXにおいても有効なのでしょうか?
ちなみに、「トレードの教典」という本の中で、著者のジョッシュ・リュークマンは、次のように言ってました。
大成功を収めるトレーダーは、高く買ってさらに高く売ることによって、あるいは安く空売りしてさらに安く買い戻すことによって利益を上げる。(ジョッシュ・リュークマン)
つまり、大成功しているトレーダーは、BLASH(安いところで買って、高いところで売る)とは真反対のことをやって利益を上げていると言っていたのです。
ジョッシュ・リュークマンが本の中で言っていたことは、「高く買ってさらに高く売る」ということでした。それはつまり、「高く買ってさらに高いところで決済をする」ということです。
同様に「安く空売りしてさらに安く買い戻す」、それはつまり、「安く売ってさらに安いところで決済をする」ということです。
BLASH(安いところで買って、高いところで売る)という言葉は一見すると、もっともらしきことを言っている言葉だと誤解されてしまう言葉だと言えます。
もちろん、安いところで買えて、その後にグングンと値が上昇してくれれば、大きな利益を得ることができます。また、高いところで売れて、その後にドカーンと値が下がってくれれば、大きな利益を得ることができます。
相場に参加している大半の人たちは、そのようなトレードを実現したがっているのは事実です。でも、どうでしょう? そのBLASHを実現することが難しいからこそ、FXでは勝てる人よりも負ける人のほうが多いのです。
だから、トレードの世界では、BLASH(安いところで買って、高いところで売る)という考え方だけでは通用しないのです。
まず、「なぜ値は高いところにあるのか?」そして、「なぜ値は安いところにあるのか?」ということを考えることが必要です。高いところに値があるのなら、当然にして、そこまでの上昇を後押しした強い理由があるからこそ、そこにいま値が存在をしているはずなのです。
安いところに値があるのなら、当然にして、そこまで値を下げるだけの強い理由があるからこそ、そこにいま値が存在をしているはずなのです。つまり、相場では、理由があるから値動きがあるわけで、強い理由がなければ大きな値動きにはつながらないということです。
つまり、BLASHの「Buy Low」すなわち「安きを買え」とは、そのような強い値動きを形成してきた要因を考慮していない考え方だとも言えるのです。BLASHの「Sell High」すなわち「高きを売れ」も同様です。
値が高い位置にある時は、その値位置まで上昇させる強い理由があってのこと、値が低い位置にある時は、その値位置まで下落させる強い理由があってのこと。
そして、これからの値動きからしか利益を得ることができない我々トレーダーは、上昇をさらに後押しする要因があるかどうか、下落をさらに後押しする要因があるかどうかを、しっかりと考えなければいけないのです。
「これだけ上がったんだから、そろそろ下がるだろう」「これだけ下がったんだから、そろそろ上がるだろう」 そういう値頃感的な考え方だけでは通用しないのです。
「上がったから下げるのを狙う、下がったから上げるのを狙う」のではなく、「上がり始めたらもっと上げるのを狙えばいいし、下がり始めたらもっと下げるのを狙えばいい」ということです。
たとえば、2024年のドル円相場では、年初は140円後半の値位置からのスタートでした。仮に、もしその値位置が既に高い水準にあると考えて、BLASHの「Buy Low」すなわち「安きを買え」を狙っていたなら、2024年の162円直前までの上昇相場からは、少しも利益を得られなかったことになります。
なので、常に相場の天井や底で仕込まなくても、いくらでも仕込むポイントはあると考えるのが上級者の考え方なのです。ぜひ「BLASH」を実現できなければ勝てないという間違った概念は捨てて、正しい判断でFXに取り組むようにしてください。