FXでお金を増やしていくためには、株式投資などと同様に為替相場の分析が必要になります。そして、その値動きの分析には、「チャート」を使ったテクニカル分析が役に立ちます。
相場の値動きをわかりやすく示したものがチャートで、そのチャートを見ると過去からの値動きがよく分かります。そして、これからどう動くのかのシナリオを描くためにチャート分析を行うのです。
そのチャート分析の中でも基本的な分析手法を、この記事では実際のチャートを用いて解説していきます。
値動きを示すチャートには、複数の種類があります。値動きをローソク型の縦棒で表わして横に並べた「ローソク足チャート」や、他には「バーチャート」や「ラインチャート」という種類もあります。それらは時間が経過すると共に1本ずつ新しい足を刻んでいくので、時系列チャートと呼ばれています。
そして、非時系列チャートと言って、時間という要素を排除して、為替レートに値動きがあった時だけ新しい足を刻む非時系列チャートというものもあります。その中では「ティックチャート」が最も有名ですが、他にも「カギ足」や「新値足」など複数の種類があります。
多くのトレーダーたちは、売買のベストタイミングを判断するために、このチャートにさまざまな「テクニカル指標(インジケーター)」を表示させて用いています。テクニカル指標にもそれぞれ特徴があります。
トレンドの傾向を比較的つかみやすい「トレンド系の指標(トレンド系インジケーター)」や、相場の勢い(モメンタム)をとらえようとする「オシレーター系の指標(オシレーター系インジケーター)」の2種類があります。
「どのような判断を必要としているのか? どのようなトレードを仕掛けようとしているのか?」を考えながら、売買のタイミングを判断しやすくするために、自分自身のトレード手法にマッチしたテクニカル指標(インジケーター)を取捨選択することは、勝つためにとても重要なポイントになります。
日本ではチャートにローソク足を表示して用いるのが一般的で、分足チャート・時間足チャート・日足チャート・週足チャート・月足チャートなど、時間軸別のチャートに分けられています。
トレーダーは、このチャートの過去の値動きを分析して、将来の価格変動を読み取っていくわけですが、まずはローソク足の見方を知ることから始めましょう。
ローソク足とは本間宗久という日本人によって1700年代の江戸時代に開発されたもので、見た目が蝋燭(ろうそく)に似ていることから、この名前が付きました。ローソク足は、ロウソク足1本分の時間帯での「始値」「終値」「高値」「安値」の4つの値(4本値)を分かりやすく示したものです。
その時間帯の最初につけた値が始値で、最後につけた値が終値です。そして、その時間帯で一番高かった値が高値で、一番安かった値が安値です。これらを総称して4本値と呼ばれています。
なお、始値よりも終値が高い場合は、その時間帯では値が上昇して取引きを終えたことになりますので、そういう時のローソク足を陽線と呼びます。その逆に、始値よりも終値が安い場合は、その時間帯では値が下落して取引きを終えたことになりますので、そういうときのローソク足を陰線と呼びます。
陽線と陰線は、ローソク足のチャート上では色別に分けられて表示されます。そして、高値と安値を表しているのが「ヒゲ」と呼ばれる部分です。実際には以下の図のような感じでチャート上に1本ずつ表示されるので、ぜひ参考にしてください。
このローソク足を左側(過去)から時間の経過順(時系列)に並べているものがローソク足チャートです。
ローソク足を見ると、相場の値動きがとても分かりやすいですね。
例えば上のチャートの丸で囲った陽線は長くなっていますが、これは日足チャートなので、一日中、値が上昇を続けていたことを表しているということになります。この大陽線一本を時間足チャートで表示をすれば、きれいな右肩上がりの値動きとなっています。
下の図の丸で囲んだ部分の陰線は、実体(ローソク足からヒゲを除いた部分)が短く、ヒゲが長くなっています。これは2日間にわたり高値圏でもみ合いの値動きとなった後に下落して終わったことを表しています。
以上のローソク足ですが、複数のローソク足で形成されるプライスアクションがあります。それを分かりやすく別のものに例えて説明するなら、空に浮かぶ雲のようなものです。雲にも積乱雲や巻雲など、さまざまな種類がありますが、それを天気の予報に使う事があります。
ローソク足のプライスアクションも同様で、このローソク足の組み合わせができたら上昇しやすいとか下落しやすいとか、そういう相場予想に利用することもできるのです。
ですが、初級者には少し難しい判断にもなりますので、ローソク足のプライスアクション分析についての詳細は、また別の記事でお伝えしていくようにします。
相場が上昇していくときには陽線が陰線よりも多く並び、下落していくときには陰線が陽線よりも多く並ぶことがほとんどです。そして、上昇時には安値同士を、下落時には高値同士を結ぶと、チャート上にトレンドラインを描くことができます。
ちなみにトレンドラインの引き方は統一をされているものではなく、ヒゲ同士を結ぶ引き方と、実体の始値や終値を結ぶ引き方などがあります。
どちらの引き方が良くて、どちらの引き方が悪いということはなく、そもそもトレンドラインとは為替相場の値動きの継続性を見るために描くものなので、それが分かればどちらの引き方でも大差はないです。
下の図は下落する局面を表していますが、値動きが実体を結んだトレンドラインに頭を抑えられながら下落している様子がわかります。
次のチャートには、上昇トレンドラインと並行したチャネルラインを付け加えてみました。
トレンドラインは絶対的なものではなく、相場の値動きは波のように行ったり来たりを繰り返すものですから、その都度トレンドラインを引くようにしなければ、継続して正しい判断をすることはできません。
また、トレンドラインは長く機能していればいるほど、信頼度の高いトレンドラインと言えるのですが、そのような時にトレンドラインをブレイクする値動きが出た場合は、今後のトレンドの継続を疑い、反対方向への値動きに注意を払う必要があります。
仮に値動きが下落を始め、下のチャートのような値動きになったとしましょう。
値動きは上昇や下降を繰り返していますが、トレンドラインが上値を押さえており、トレンドラインが上値抵抗線として機能しているのがお分かり頂けるでしょうか?
そして、中期間の白の移動平均線を短期間の黒の移動平均線が下抜いています。これはいわゆるデッドクロスと呼ばれている現象ですが、チャートを見る限りでは、しばらくは下落トレンドが継続しそうだと判断できます。
ただし、このトレンドラインですが、人によりトレンドラインを引く場所が異なることが多いのです。そのために、人により判断が違ってしまうのです。
「どこにトレンドラインを引くのが正解なのか?」そのことで頭を悩ませてしまう人も多いのですが、学校の試験のように正しい答えが用意されているわけではありません。
なので、大切な事は、ひたすら引いてみて経験値を高めていき、自分なりの引き方や判断のしかたを学び取るしか方法はありません。
トレンドが発生している方向へ向けてポジションを建てるトレードのやり方をトレンドフォローと言いますが、高値をブレイクアウト、あるいは安値をブレイクアウトした時に仕掛けるというオーソドックスなトレンドフォロートレードのやり方を紹介します。
その場合には、節目の値位置や抵抗ラインを完全に上抜けた状態を確認、つまりブレイクアウトした状態を確認したらポジションを建てます。ブレイクアウトしたかどうかの一番オーソドックスなやり方は、ローソク足の終値が確定した時にブレイクアウトしているかどうかで判断をすることが多いです。
節目の値位置をヒゲで抜いてきただけで終値が抜いていなければ、それはブレイクアウトしたことにはならないという判断が一般的で、ポジションはまだ建てないトレーダーは多いのです。つまり、終値がブレイクアウトするまでは、じっと待つトレーダーが多いということです。下のチャートを見てください。
丸印で囲ってあるa,b,cを見てください。その部分にA,B,Cの3本の黒い平行線を引いていますが、仮にこの平行線をブレイクアウトしたらエントリーするという戦略を練っていたとします。黒丸で囲っているaの部分では、まだAの平行線をブレイクアウトしたとは判断できません。
次に黒丸で囲っているbの部分では、終値がBの平行線をブレイクアウトしているので次の時間帯にポジションを建てます。その後は良い感じで上昇しています。そして次に、黒丸で囲っているcの部分でも、Cの平行線をブレイクアウトしています。ローソク足は移動平均線の上にあり、力強い上昇を続けています。
トレンドフォローでのオーソドックスなトレードでは、節目の値をブレイクアウトしてきたらポジションを建て、トレンドについていくことで利益を狙うのです。
このブレイクアウトによるトレードは、エントリーする時は高値掴みや安値掴みのような感覚に陥るかもしれませんので、多少恐怖感がわくこともあるでしょう。
ですが、相場はどこまで上がるのか、どこまで下がるのかは誰にもわかりません。自分の想定通りの値動きとはならない場合はたくさんあるものです。
そして、気を付けたい事は、ポジションを建てた方向と反対方向へ値が動いた場合は、エントリーと同時に仕掛ける損切りが、資金の減少を抑えてくれるようにしなければなりません。そういったリスク管理がしっかりと出来ていれば、ブレイクアウト戦略を有効に機能させることが可能になります。
「1回のトレードでいくらの利益を得るか、いくらの損をするか」という目先の損得勘定ばかりに左右されていては、投資で利益を得ることは難しいです。1回ごとのトレードは局地戦のようなものと考えて、いかに資金を温存しながら戦うかを考えなければいけないのが勝ち続けるためのトレードです。
長い目で見て利益を上げることが重要だということです。特に多くの初心者は、1回毎のトレードそのものが世紀の大決戦のような感覚で資金を使い過ぎてしまう傾向にあります。何となく目先の利益を得られたとしても、それと同じトレードを連続して再現させるということは非常に難しいのです。
だからまずはトータルで勝てるように、正しい資金管理と相場分析力を身に付けて頂くことを、常に意識をして日々のトレードと向き合うようにしてください。
日々のトレードで悩んだりしていることはありませんか? もし、あなたが解決したいお悩みや問題を抱えているなら、ぜひ以下のアンケートフォームからお聞かせいただければ幸いです。