以前あるお客様から、以下のようなとても悲しいメールが届きました。
お世話になっております。諸般の事情によりFXオンラインマスタースクールを退会いたしたくお願い申し上げます。ポンドで失敗をし全ての資金を失ってしまいました。損切り出来ない人間はFXをやってはいけませんね。
FXは大きなレバレッジを効かせた取引ができるので、一度の失敗で大きな損をしてしまうリスク(危険性)があります。
そのため、FXでは資金管理が極めて重要になるのですが、デーブ・ランドリーの著書「裁量トレーダーの心得」の中には、次のような戒めの言葉が書かれています。
あなたがリスクを考慮に入れて少額の資金でトレードを行えば、1回損をしても、あるいはトレーディングには付き物だが、続けざまに損をしても、口座やあなたの精神に重大な影響は及ばないはずだ。
トレーディングでは「 一に資金管理、二に資金管理、三に資金管理」だ。(デーブ・ランドリー)
偉大なトレーダーであっても、リスクを甘く見て大失敗した過去の経験談を語る人は多いものです。それは、二度と同じ失敗を繰り返さないという自分に対する戒めと、他の相場参加者にも注意や訓戒を促したいという想いで伝えられているのでしょう。
でも、たいていの場合は「自分はだいじょうぶ」だと甘く考えてしまい、自分自身で手痛い失敗を経験した時にはじめて、腑に落ちて理解できる事なのかもしれません。つまり、リスクに対して注意を促しても、そのほとんどの場合で「馬の耳に念仏」なのです。
なので、いくら他人の失敗談を耳にしたり目にしたりしても、自分自身で手痛い失敗をしなければ、注意や訓戒は少しも効果がないことなのかもしれません。
一体どうすれば大きな損失を経験する前に、リスクを心から理解することができるのでしょうか? 僕は以前から、そのことをずっと考えてきました。
でも残念ながら、その答えは見つかっていません。実際に僕自身も過去に大きな損失を経験してきましたが、経験して初めてリスクについて深く考えられるようになりました。
「一生懸命に、誰かをハシゴの上までのぼらせようとしても、ハシゴをのぼる本人に上までのぼる意思がなければ、結局は上までのぼらせることはできない」という言葉がありますが、リスクに対してもそうなのかもしれません。
周りでどれだけとやかく言おうが、取引する本人がリスクに対してどう考えるのかが重要で、結局はトレードする本人次第なのでしょう。結局は、それのみが真実なのかもしれません。
種がなければ花は咲くことがないように、トレードにおいては資金がその種になります。どれだけFXについて学んでも、デモトレードで一生懸命練習しても、種となる資金がなければ、お金を増やしていくことはできません。
トレーダーではありませんが、億万長者メーカーとして、アメリカの著名なコンサルタントであるダン・ケネディは次のように述べていました。
「小さいお金から増やしていくことができなければ、たとえ大きなお金を手にしていたとしても、そこからお金を増やしていくことはできない。」
この言葉は、まさに正論中の正論で、誰も否定をすることができない事実ですし、投資家やトレーダーにも大いに通ずる金言です。
結局、FXにおけるリスクの怖ろしさが、この記事の内容だけで、あなたにどれだけ伝わるのかは未知数です。でも、とにかくトレードでは資金管理を絶対に怠らないようにしていただきたい。ドカンドカンと一気に資金を増やすことを思い描いたトレードこそが破綻への近道になっているとも言えるのです。
なぜなら、大勝ちすることが数回あっても、その状態を長く継続していくことなんて、まず不可能なことだからです。なので、種は絶対に失わないようにして、コツコツコツコツ継続していくことが最も資金を大きく増やすコツになるのだと考えるようにしていただきたいのです。
そのためにも建てたポジションへは、必ず許容できる損失量以内での損切りを、なにがなんでも絶対に設定するようにしてください。「損切りを置かなくても大丈夫」だとか、そういうリスクを甘く見るという小さなほころびから、破綻への一歩が始まってしまうのです。
どれだけ言っても「馬の耳に念仏」かもしれませんが、とにかく気を付けるようにしてください。