アナリシス・パラリシスという言葉は知ってますか? 日本語に訳せば、分析によるマヒのことを意味する言葉です。
このアナリシス・パラリシスという言葉を、僕が始めて知ったのはジョッシュ・リュークマンの本を読んだ時でした。その本の中に、次のような記述があったのです。
テクニカル分析のひとつの問題は、簡単に利用できるチャートや指標が山ほどあるため、多くのトレーダーが圧倒されてしまい、ウォール街でよく言われる「アナリシス・パラリシス」(分析によるマヒ)に陥ってしまうことだ。
たくさんの指標をとっかえひっかえ使い、時にはそれが互いに矛盾したシグナルを出したりするために決断が鈍って前に進めなくなるのだ。
トレード経験が長い人は、ジョッシュ・リュークマンの格言のようなことを、これまでにきっと経験をしてきたことでしょう。僕自身も、まだ安定して勝ち続けられなかった頃は、あらゆる相場に対応できるような聖杯探しを、とっかえひっかえとずっと繰り返していました。
そして聖杯を探し出すことができずに、精神的にも資金的にも疲れ果てた時こそが僕の転機となりました。ひとつひとつの相場の値動きの意味や指標の役割をしっかりと考えるようになり、本当に必要なものだけを残すようにしました。
そして、パラメータ(設定値)なども、こねくり回すことをやめて、決めたものを一貫して採用するようにしたのです。もちろん、そこで決めたパラメータ(設定値)にも、しっかりとした意味と役割を考慮してのことです。
そして、一貫した相場判断を繰り返しているうちに、自分のやり方に適合する相場と適合しない相場がだんだんとわかってきたのです。そのことで、トレードの成果の浮き沈みを抑えることができるようになりました。
そうやって、こねくり回すことをやめて、一貫したやり方でトレードをするようになり、僕が気が付いたことがあります。それは、やり方をとっかえひっかえしているうちは、相場の値動きそのものの素材ではなく、採用しているインジケーターやパラメータに意識が集中して向いてしまうということでした。
これを料理に例えれば、食材そのもののおいしさではなく、調味料でしか味覚を感じることができないようなものと同じことです。あくまでも料理の中心は素材であるように、FXの中心はインジケーターなどの指標ではなく、純粋なロウソク足の値動きなのです。
つまり、焦点を合わすべきものに焦点が合わずに、全体をぼんやり眺めることしかできていなかった事に、僕はやっと気付くことができたのです。
カメラで撮影する時には撮りたいものに焦点を合わさなければ、ピンボケしてしまいます。それと同じことで、何を分析の中心にするのか? その中心とするものにしっかりと焦点を合わせて、分析そのものがピンボケして曖昧にならないようにする。ぜひ、今後はそのような対策を心掛けてください。
あなたの焦点をインジケーターなどの指標ではなく、値動きの素材そのものに目を向けることで、アナリシス・パラリシス(分析によるマヒ)は、きっと回避できるようになるはずです。この記事の内容が、あなたの参考になればとても嬉しいです。