為替相場は土日を除いて24時間フル稼働で動いている。だから、株や先物と違って、いつでもお金を増やせるチャンスがある。
あなたも間違いなく、そんな話を何度も耳にしたことがあるでしょう?
でも、相場が動いているからと言って、「いつ仕掛けても勝てるほど相場は甘くない」と感じたことはありませんか?
「エリオット波動入門」の著者ロバート・R・プレクタージュニアは、本の中で次のように書いていました。
相場が休むときは、われわれもまた休むべきだ。(ロバート・R・プレクタージュニア)
ちなみに、相場が休む時とは、相場が動いていない取引時間外のことを意味しているのではありません。ここで使われている「相場が休むとき」という意味は、閑散相場のことを意味しているのです。つまり、値動きに乏しい時は我々も休むべきだということです。
古くから相場には「休むも相場」という格言もあります。相場の先行きが読めない時や、チャンス相場ではないと判断した時には手出しはせずに、次のチャンス到来を待つように構えることが重要で、「いつ何時でもポジションを持っている必要なんてない」ということを諭した格言で有名ですね。
為替相場は土日以外は24時間市場が開いていますが、すべての時間帯で同じだけの取引量があるわけではありません。取引できる状況にはあるものの参加しているトレーダーが少ない時間帯があるのです。
一日の時間帯の中にもそのような閑散な時間帯はありますし、一年を通した中でも閑散とした時期があります。一日の時間帯では、ほとんどの通貨が日本の深夜から早朝にかけては閑散相場です。仲値が決まってから昼過ぎまでも閑散相場になることが多いです。
ちなみに仲値とは、日本の金融機関のその日の売買の基準になる値のことで、毎日午前9時55分に発表されています。また、通貨によっても時間帯によって取引量が増える時間帯と減る時間帯があるのです。その理由は、法定通貨として使われている国の生活時間帯に取引量が増えることが一般的だからです。
たとえば、日本であれば日中は企業で働く人が多いので、そういう時間帯に企業の実需での為替取引や、その国の機関投資家の取引が活発になります。なので、日中のほうが早朝や夜間や夜中よりも取引量が多くなる傾向になります。
もちろん、それは日本だけではありません。どの国にも同じ傾向があります。ですから、豪ドルやNZドルはオセアニアの日中の時間帯に取引量が増えて、ユーロは欧州の日中の時間帯に取引量が増えて、米ドルはアメリカの日中の時間帯に取引量が増える事になります。
取引参加者が多くて取引量が多い時間帯のほうが、当然にして値動きは活発になる傾向が強いです。だからこそ、日本の夕方から夜間に掛けては欧米の生活時間帯に重なるので、一日の中では最も取引量が増える事になるのです。
ドル円は仲値が決まる時間帯で、値動きが活発になることが多いです。その理由は、仲値が決まる時間帯で、企業によって事業決済用の資金調達が行われたりするからです。個人投資家が動かす金額と比べたら取引量が大きい傾向にあるので、その取引が為替レートに多少なりとも影響を及ぼすことになります。
また、一年を通した中では、クリスマスの時期には閑散相場になることが多いです。欧米の大口投資家たちは、クリスマス期間はしっかり休暇をとるので、クリスマス前から数日間は閑散相場になります。そして、11月のアメリカの感謝祭の時期も同様です。通常よりも相場は閑散とします。
そのような時は相場参加者が減ってボラティリティも低くなりがちで、スプレッドも広がりやすいため、通常時とは異なる値動きになることも比較的に多くなります。
日本人の習慣は欧米人とは違うので、そのような時にも意識することなく何も考えずに取引しがちです。日本人は年始と言えば長く休む傾向にありますが、欧米人は比較的に早く年始は相場に戻ってきます。そのような習慣的な違いもあります。
トレード経験が長い人であれば、年始から大きく動く相場を何回もきっと経験をしてきたことでしょう。
相場が休むときは、われわれもまた休むべきですが、相場が休むときはいつなのか?
為替相場は世界でひとつだけですから、日本人としてだけの感覚ではなく、グローバルな感覚を持つ必要があるのは言うまでもない事です。ましてや、日本の為替取引量を圧倒的に大きく上回る欧米市場を常に意識していなければ、なかなかFXで勝ち続けるのは難しくなってしまうのです。
相場が休むときにはトレードを避けることができるようになれば、当然にして無駄な損を重ねることは少なくなります。どういう時に閑散相場になるのかは経験を積めば分かるようにはなりますが、閑散相場になった時を記録しておけば、そういう蓄積した情報がのちのち役立ちます。
そのようなことは、トレードの優位性を高めるためのアノマリー(経験則のようなもの)になります。記録をしない人が大半ですが、そういうところでも格差は広がるわけですから、面倒でも記録を付ける習慣を身に付けることは大きな違いを生み出すことになるのかもしれません。
なので、値動きに乏しい時間帯や時期を記録に残すことも、ぜひ検討してみてください。