FXで損することってイヤじゃないですか?
特に僕がトレードを始めたばかりの頃には、いつもそんなふうに思っていました。その当時は、損失と利益の比率(リスクリワードレシオ)なんて気にしていなくて、とにかく損をしないことを最も重要視していました。
ですが、負けること、損することを受け入れられるようになってから、トレードの成果が次第に良くなっていったのです。
「トレードの教典」を著したジョッシュ・リュークマンは、その本の中で次のようなことを書いていました。
あなたは確実なものを求めてトレードしているのか。もしそうなら間違った職業に就いているのかもしれない。
市場には確実なものは存在しない。トレーディングで唯一確実なことは、勝つときも負けるときもあるということだ。(ジョッシュ・リュークマン)
ジョッシュ・リュークマンが書いた「確実」という言葉が意味することは、間違えることがないということです。でもよく考えてみてください。
もし100%確実に勝てる方法が存在するのなら、もう相場そのものが消滅をしているはずです。なぜなら、常に需要と供給があるからこそ存在をしているのが相場であり、そのバランスで相場は値動きを刻んでいるからです。
需要だけ、供給だけ、という状態はあり得ないのです。
たとえば仮に1本の値段が100万円するビールがあったとしても、それを買う人がいなければ生産は続けられません。その状態は供給する生産者側がいても、消費する需要者側が存在しない事を意味します。その状態は供給が100%、需要は0%という状態です。そうなれば、その市場は消滅するしかありません。
相場も同じで、金融市場が存在をするということは、需要と供給の両者が確実に存在をしていることを意味します。ということは、相場の構造的には「勝率100%はあり得ない」ということになるわけです。
もし、勝率100%があり得るなら、そのトレーダーは常にフルポジションでトレードを繰り返すことを選択するはずです。そして、そのフルポジションでの勝負を数回だけ繰り返すことで、あとは時間の問題で相場のすべてのお金を牛耳ることができるようになるでしょう。
でも、いま相場が存在しているということは、勝率100%の方法を誰もが見つけられないからなのではないでしょうか? 100%確実に勝てる方法が存在しないからこそ、トレーダーは常にリスクを限定してトレードを仕掛けているのではないでしょうか?
つまり、それは市場には確実に勝てる方法は存在しないことを意味しています。トレーディングで唯一確実なことは、勝つときも負けるときもあるということです。
勝率100%の方法がないのなら、我々はどのようにFXを続けていけば良いのでしょうか?
勝ちも負けもあるトレードでは、少しの損失が続いただけで、ルールのすべてを放り投げてしまう人がいます。すべては放り出さなくても、すぐにルールをこねくり出す人がいます。
そうやってルールをすぐにいじくりまわして、その時にたまたま勝てたり損失を免れて喜ぶ人は、トレーダーとしてはまだまだ未熟者だと言えるのではないでしょうか? そのような状態はトレードというものの本質がまったく分かっていない愚かな行為なのではないでしょうか?
大切なことは、常に一貫した姿勢です。そういったものがあってこそ、ルールの変え時を知ることもできます。一貫した姿勢なのにルールを変えるとは、逆説的な感覚を受けてしまうかもしれません。
でも、同じやり方を繰り返していて、何度も何度も躓くことがある場所が分かれば、次はそれを避ける方法を考えることになります。それが、一貫した姿勢だからこそ、ルールの変え時を知ることができるという意味です。
頻繁にトレードのやり方をこねくり回す人は、どこでいつも躓くのかが明確になりません。ですから、トレードでは一貫した姿勢は重要なのです。もし、そのような姿勢を持ち合わせていなければ、今すぐにその考え方を改めるようにする必要があるのかもしれません。
FXで勝率100%のトレード手法はありません。もちろん、回数を限定した中での勝率100%ならあり得ることです。ですが、この先にずっと負けずに勝ち続けるということは不可能です。そのことを歴史が証明しています。なぜなら、いまだに相場は存在しているからということでしたね。
勝率100%が見込めないなら、我々は負けることを常に想定して、万が一に備えて取引を継続していく必要があります。常に損切りを置いて、負けても自分自身で決めた損失許容量を超えないようにする。そのような対策は基本中の基本です。
負けは必ずあるのですから、一度や二度の負けで資金も気持ちも凹まないようにすることを、どうか心掛けて今後も取り組んでいくようにしてください。