まだFXを始めたばかりの初心者と、歴戦のベテラントレーダーとでは、損失に対する意識はまるで異なります。初心者はとにかく損失を嫌います。
少しでも含み損を抱えてしまった状態になっただけで、いてもたってもいられなくなるのです。そして含み損の状態が更にひどくなれば、心臓の鼓動はもっと激しくなり、心の中は不安で不安でたまらなくなるのです。
ジョッシュ・リュークマンは、著書「トレードの教典」の中で、損失を怖れることに対して、以下のような的確な指摘をしていました。
損失を恐れると逆に損失を生み出してしまう。まだ少額のうちに損切りすることができず、損失を恐れるあまり素晴らしいトレーディング機会を見逃してしまう。(ジョッシュ・リュークマン)
小さな含み損の状態の時に損切れずに見逃してしまえば、あとはひたすら運まかせに祈るだけです。「早く値よ戻ってきてくれ!」 そして値が戻ってくると「よかった。俺は運がいい。 さすがに持っている!」 などと訳の分からない自己肯定をし始めるのが初心者や初級者です。
でも、よく考えて頂きたいことは、それは本当に運が良かったと言えることでしょうか?
一度そのような命拾いした経験は、その後のトレードで同じことを繰り返してしまう要因にもなってしまうものです。「今度も大丈夫。また助かるよ。」…と。そして、同じ過ちを繰り返し続ければ、それはただ時間の問題だけで、いつの日にか値が戻らない日が訪れてしまうのです。
なので、本当に運が良いということは、最初の過ちで、こっぴどく痛い目を見ることだと言えるのではないでしょうか? 過ちを二度と繰り返さないことを心に誓うような痛すぎる経験をすることのほうが、むしろ運が良かったと言えるのではないと思いませんか?
なぜなら、早い段階で間違ったことをしていることに気付くことができるからです。
もちろん、この記事でこれまでに述べてきた意見には賛否両論があるでしょう。だからこそ、僕は敢えてこの話を持ち出したのです。僕があなたにお伝えしたかった事や考えていただきたかった事は、運が良かったと思うことも、運が悪かったと思うことも、それは表裏一体だということです。
つまり、あなた自身の考え方によって運が良いと認識することもできるし、運が悪いと認識することもできる、ということです。世の中の大半の人たちは、身に降りかかった事実に対して、そのほとんどすべてを運が悪かったと考えてしまう傾向にあります。
あいつのせいだ。相場のせいだ。不景気のせいだ。
でも残念ながら、そのように、正しいのは常に自分自身で間違っているのは周りのせいだ、と考えている人には、成長余地は少ないと思いませんか?
あなたはタビオという靴下屋さんをご存知でしょうか? 僕が生まれた1968年(昭和43年)に創業して、現在では上場をしている企業です。現在では日本のみならず、中国、台湾、フランス、米国、英国に数多くの店舗を展開しています。
その会社の創業者の越智会長は「靴下の神様」とも呼ばれていた人ですが、以前にインタビュー動画で非常に面白いお話を拝聴しました。越智会長は「なんでも不景気のせいにする人間は、そいつの頭の中が不景気なだけだ。」とおっしゃっていたのです。
つまり、不景気だからといっても儲けている人もたくさんいるわけで、儲からない理由の言い訳として不景気を理由にしているだけだというのです。その話を聞いた時に、そのことはトレードにも当てはまることだと強く感じました。
レンジ相場だから儲けられないとか、あのニュースで損切りになったとか、勝てない言い訳なんていくらでもあります。でも、そういう相場でも勝てている人は市場参加者の中にはたくさんいるわけです。
ですから、自分が損してしまったことは、相場やニュースのせいではないのです。すべて己のせいなのです。つまり、言い訳ばかりを探しているうちは、なかなか成長することはできないということです。
あなたの周りにもいませんか? 何か失敗をした時には、すぐに「でも…」という言い訳が・・・。なぜやっていないのかを問いただせば、すぐに「でも…」という言い訳が・・・。何でも「でも…」とすぐに言い訳を口にする人が、世の中に溢れ返っていると僕は感じています。
何か悪いことの要因を自分ではなく、周囲に求めてしまう人は、もう完全に「ネガティブ・スパイラル」な状態にハマり込んでしまっているのです。言い訳したくなる気持ちをグっと堪えて、「その原因は自分のせいではないのか?」と、まずは考えてみるようにする事が必要なのではないでしょうか?
大切なことは、人の行動はすべて、その人の考え方が支配をしているということです。ですから、考え方というのは、どのような人生を歩んでいくにしても、FXで良い結果を出し続けていくためにも、とても大切な要素ですよね。
良い考え方が出来るようなるためには、まずは上手くいかない原因については、すべて自分のせいだと考えてみることでしょう。すべてを周りのせいにしているうちは、何も変わることはないのです。さて、あなたは今日から、ご自身のトレードの結果について、どんなふうに考えていくのでしょうか?