デモトレードで勝てても、リアルトレードでは勝てない。過去検証では勝てたのに、リアルトレードでは勝てない。
あなたは、そんなふうな経験をしたことありませんか? どうしてデモトレードや過去検証では上手く勝てるのに、実際のお金を使うリアルトレードでは勝てなくなってしまうのでしょうか?
この記事では、以上のような不思議な現象を解明して、あなたがその原因に納得できるように、「リアルトレード」と「デモトレード」と「過去検証」の明確な違いについて説明します。
これからFX(外国為替証拠金取引)を始める初心者のために、ほとんどのFX業者ではデモトレード(バーチャルトレード)というシステムが用意をされています。
FX業者で用意をされたデモトレードシステムでは、実際に証拠金を預けてトレードをするのとほぼ同じ取引システム環境でトレードを疑似体験することが可能です。
ちなみに「ほぼ同じ環境で」と書いたのは、同じFX業者でもリアルトレードとデモトレードのレートには若干の差が生じることが多いので、「同じ環境」ではなく「ほぼ同じ環境」と表現しました。
リアルトレードの場合では、顧客の注文をインターバンク市場に流すNDD方式(ノンダイレクトディーリング方式)を採用している業者は、インターバンク側で素直に約定してくれないケースもあります。
そしてデモトレードの場合は、実際にインターバンク市場に注文を出すことはありません。だから、基本的には約定にスリッページロスが発生することは、ほぼないのです。まずはそれが、リアルトレードとデモトレードでレート差が生じる理由になっています。
そして、このデモトレードですが、初心者ばかりではなくベテラントレーダーでもデモトレードを使うことはよくあります。
その理由は、FX業者に新しく口座を開設する前に取引システムなどを確認する場合であったり、新しく考案したトレード手法(トレードロジック)や覚えたてのトレード手法などを試してみる場合であったり、そのような時にデモトレードはベテラントレーダーにも利用をされています。
よく初心者の人の中には、デモトレードでうまくトレードができるのなら、実際のトレードでもうまくできるはずだと考えている人が多いです。
でも実際は、初心者に近ければ近い人ほど、たとえデモトレードで上手くトレードができたとしても、実際のリアルトレードでは簡単にはいかないことのほうが多いのです。
デモトレードとリアルトレードの決定的な違いは、「トレードをすることによって、そこに痛みが存在するのか、それとも痛みは存在しないのか」ということが絡んでくることです。
「痛み」とは実際の資金を失ってしまうかもしれないという「心の痛み」のことです。
デモトレードならば、初心者でも簡単に決めた値位置で損切りをすることもできますし、トレンドに乗れてポジションを保有している時は、十分に利益を伸ばすこともできます。なぜならそこには、実際のお金を失うという心の痛みが存在しないからです。
100万円の仮想資金で始めたデモトレードで、仮に100万円を失ったとしても、実際のお金が減るわけではないので、トレードが上手くいかないという悩みを抱えてしまうことはあっても、お金を失うという心の痛みを感じることはありません。
トレンドに上手く乗れて、50万円の仮想資金の含み益が出た時に決済せずに、仮にトレンドの終焉を見定めてから30万円の含み益で決済したとしても、そこに利益を取り損ねたという痛みも存在しません。でも、これが実際のお金で行うリアルトレードならいかがでしょう?
わずかながらでも損切りになって損することにも心の痛みは伴いますし、50万円の最大含み益が30万円になってしまったことでさえ、獲得できたかもしれない利益を半分近く取り損ねてしまったということで心の痛みを感じることになります。
だからデモトレードでは、決めた値位置で損切りすることができても、リアルトレードでは心の痛みから逃げようとして、決めた値位置で損切りすることができない人もたくさんいるのです。
デモトレードでは、十分に利益を伸ばすことができるのに、リアルトレードではわずかな含み益が乗っただけでも決済してしまう人もとても多いです。相場には、初心者はもちろん、ある程度の経験者でもそのようなトレーダーは非常にたくさん存在をしているのです。
もっともデモトレードで上手くトレードできない人間が、リアルトレードで上手くトレードが出来ることはあり得ないので、まず初心者はデモトレードでの練習を繰り返すべきなのは言うまでもないことです。
そして、自分のトレード手法(トレードロジック)に十分な自信を確立することができたなら、最初は小さなポジションサイズからリアルトレードに移行してみることをお勧めします。
最初は小さなポジションサイズのリアルトレードでデモトレードと同じようにトレードが出来るようになってから、少しずつ投資資金を増やして、少しずつポジションサイズを大きくしていけばよいでしょう。
安定的に勝てる手法を確立できれば、お金は複利の力で勢いよく増やしていくことだって可能になるわけですから、まずは焦らずに、デモトレードから始めるようにしてください。練習は嘘はつかないのです。
そして、デモトレードとは多少意味合いが異なるものになりますが、過去検証というものがあります。過去検証とは、過去の相場を使ってトレード手法(トレードロジック)が上手く機能するかどうかを検証する作業になります。
過去のチャートを使いながらデモトレードができるソフトウェアもありますので、過去検証とデモトレードを一緒のものだと考えてしまう人もいるようです。ですが、厳密に分ければ、デモトレードと過去検証はまったくの別物です。
デモトレードは、リアルタイムで動いている相場でのバーチャルトレードであって、過去検証はあくまでも過去のチャートを使ってのバーチャルトレードであるからです。
この「リアルタイム」というものが、デモトレードと過去検証の間に大きな違いを生み出すものになるのです。なぜなら、相場の空気感というものを感じながら練習を出来るのが「デモトレード」であって、「過去検証」では相場の空気感を感じながら練習することはできません。
リアルタイムの相場では、想定外の値動きが起こることも頻繁にあるわけですし、上昇が継続しそうな空気感、下落が継続しそうな空気感、値動きが停滞しそうな空気感、値動きが反転しそうな空気感などを感じながらポジションコントロールをするものです。
でも過去検証では、そのような相場の空気感はまったく感じることはできません。ですから、トレードの訓練を積むステップとしては、過去検証でトレード手法(トレードロジック)の精度を確認して、デモトレードで相場の空気感を感じながら訓練を積むという段階を踏むべきです。
そして、最終的にはリアルトレードに移行しなければ、実際のお金の増減はありませんし、トレードメンタルを鍛え上げていくこともできません。
勝ち組の仲間入りをするためには、ステップアップしながら成長していくことが必要なことは、トレードの分野だけに限ったことではありません。仕事や勉強やスポーツなどのその他の分野と何ら変わるものではないということです。
古いことわざで言い表すなら、「ローマは一日にしてならず」です。FXで思うような収益を上げられるようになるためには、それなりの学びと経験が必要、つまり時間が必要になるいうことです。勝つための近道はなしだからこそ、勝ち組の人数は、負け組よりも圧倒的に少ないのです。