AI(人工知能)で為替相場の予想は可能なのでしょうか?
2023年に生成AIのChatGPTが世界中で話題になりました。それから、いくつもの生成AIサービスが、多くの人たちに利用されるようになりました。
実際に生成AIは使ってみると便利なのは確かです。でも、為替相場の予想は可能なのでしょうか?
そのことについて、僕なりの意見を申し上げます。
AI(人工知能)で為替相場の予想は可能なのか? そのことを考える前に、実際にはもう為替相場の予想などにも使われているという事実があります。
Googleの検索エンジンで「為替相場 AI予測」と入力して検索。そうすると、AI外貨予測アラートとか、FX-AIとか。いくつかのAIを使ったサービスが検索結果に表示されます。
でも、大切なことを忘れてはなりません。それは、値動きを生じさせているのは機械ではなく、人間の心理だということです。
たとえば、デーブ・ランドリーは著書「裁量トレーダーの心得 スイングトレード編」の中で、こう述べていました。
相場は純粋に統計的な動きをしない。もしそうした動きをするならば、世界は統計の専門家が支配することになっているだろう。
統計的なデータでは相場を支配できない。それが事実です。すなわち、機械的な判断だけで儲けることはできない。それが相場という世界です。
どのような値動きを示す相場にもすべて通用する。そんな魔法のようなインジケーターもないし、トレード手法やロジックも存在しない。もし、そういう「聖杯」のようなものがあるなら? その聖杯が発見された瞬間に相場が存在する必要が消滅します。
その理由は簡単です。需要と供給のバランスを保つために相場は存在しているからです。
値動きを生み出すのは機械的なデータではありません。人間の感情が値動きを生み出しているのです。
そのことは、日常生活を考えたほうが理解しやすいのかもしれません。たとえば、コロナパンデミックの時はどうだったでしょうか? マスクが品不足になり高騰して問題になりました。
品不足になった。高騰した。そのような事実が人間の感情に作用するのです。そのことで更に買いにくくなったり、値段が上がったりするのです。それは、我々が常に挑んでいる為替相場でも同じことです。
いわゆる「聖杯」を見つけたような気がしても? それはたまたまその時の値動きに対して順調に機能しただけに過ぎません。
世界で初めての相場は、18世紀に大阪で生まれた「堂島米市場」だと言われています。その頃から、数え切れないほどの人たちが、ありとあらゆる相場に関わってきました。
そして21世紀になりITの発達した現代では、コンピューターの発展によりAI(人工知能)によるさまざまな分析まで行えるようになりました。ですが、それでも100%の確率で値動きをピタリと予想するトレードを実現して継続していくのは至難の業です。
なぜなら、相場を支配しているのはデータ的な情報ではなく人の心理だからです。その事実は、世の中がどう発展しようと何ら変わることがないものです。
勝率も異常なほど高い。リスクリワードレシオもすこぶる良好。そんな手法やロジックを考え出したとしたならいかがでしょうか? その方法が、これから先にもずっと良い結果を出し続けられるでしょうか?
結論を言えば、そのままの状態では難しいでしょう。常に繰り返し改善する必要があるはずです。なせなら、マーケットの歪みを狙いに行くのがトレーダーの仕事だからです。だからこそ、偏りがある状態が長続きしないのはそのためなのです。
なので、ほどほどの勝率で、ほどほどのリスクリターンによる手法やロジック。むしろ、そういう方法のほうが扱いやすいのかもしれません。なぜなら、相場の中では目立たない分、その後の相場でも生き残れるやり方になる可能性が高いとも言えるからです。
奇をてらったようなやり方を模索する必要はありません。むしろ、オーソドックスにシンプルな考え方で日々のトレードに向き合ったほうが良いでしょう。その理由は、相場は人の感情により動かされているからです。
つまり、100%の絶対法則は存在しない。どれだけ優れたAI(人工知能)を導入しようが、その実現は不可能に近いことです。もし、AI(人工知能)に感情が備わるなら? それはもはや機械ではなく生物になれます。そうなれば人間さえ作り出せることになってしまうのです。
でも、そんな世の中は訪れないでしょう。人間が人間である理由は感情があるからです。そして、この感情が為替相場の値動きを生み出しているのです。そのことはどうか忘れないようにしてください。